Summary report

総括レポート

研究員制度に込めた想い

今、自分の働き方に満足していますか?

その問いに対して、「とても満足している」と答えられる人はたったの7.8%しかいません(※)。ほとんどの方が、何かしらの不満を感じていながらも、なかなか行動に移せていない。本当は新しい働き方に挑戦したいけれど、踏みとどまってしまっているのです。


なぜ行動できていないのか。

金銭的な理由などもありますが、実は「どう行動したらよいのかがわからない」という声が多いのです。


それだったら。行動のキッカケさえあれば、より自分の求める働き方に、一歩近づくことができるかもしれない。


そう考えて立ち上げたのが「新しい働き方LAB 研究員制度」です。


新しい働き方を実験してみる、という提案。

本当はやってみたかったけれど、なんとなく先延ばしにしてきたこと。

興味はあるけれど、機会がなくてやれていなかったこと。

そんなことに、まずは半年間だけ挑戦してみたら、きっと何か新しい気づきが待っているはずです。


また、一人で何かに挑戦するというのはとても難しいことです。

だからこそ、研究員制度では、同じ研究員同士での交流やつながりを重視したコミュニティです。

それぞれの活動は異なるけれど、実験に挑戦しているという点では同じ仲間。だからこそ、上手くいったときもいかなかったときも、刺激しあって、応援しあって、助け合っていける居場所をつくりたいと思っていました。


2021年12月をもって、第1期生の活動は終わりました。

果たして「実験」というコンセプトが行動のキッカケになったのか、そしてコミュニティのつながりは機能していたのか。

本レポートで振り返っていきたいと思います。


※2021年3月に実施したアンケート結果より


300通りの #私の働き方実験


研究員制度では、自分のやりたい実験を自由に企画できる「自主企画」と、企業が設定したお題に参画する形の「指定企画」があります。(兼務可)


指定企画としては、次の5つ


アドビ

「クリエイティビティを身につけると、仕事や働き方にどんな変化が起きるのか」

オンライン講義やブートキャンプで学び、2週間に1度出題される「クリエイティブチャレンジ」で、企画・発想力・表現方法などを実践で試行錯誤しながらアウトプット。参加後、事務の仕事からクリエイティブな仕事した参加者も!



Udemy

「フリーランスも副業・複業も!ゼロからのスタートでも、Udemyの講座だけで月5万円稼げるスキルは身につくのか」

ライティング、デザイン、マーケティングなどさまざまなコースがあるUdemy講座の受講クーポンを使って学び、そのスキルで稼げるようになるかを実験。実際に月5万円を達成した受講生も登場しました!



日本HP

「『仕事は会社で』はもう終わった。持ち運びに最適なノートPCを手にすると、人は個人で稼げるようになるのか」

期間中コンパクトで持ち運びしやすいPC

、Chromebookを貸与されオンラインでの仕事にチャレンジ。2人合わせて140歳という夫婦がオンラインで稼げるようになったりとさまざまな変化が起きました。



Living Anywhere Commons(LAC)

「定住前提の終末。場所の制約から解放されたとき、人はどんなチャレンジをしようとするのか」

全国各地に拠点があるLAC。そこでの出会いで、これからの人生や働き方に影響を受けた研究員も多くいるようです。



Think Lab

「どんな空間づくりをすれば、集中力・生産性を最大化できるのか」

アイウェアブランド「JINS」発のメガネ型ウェアラブルデバイス「JINS MEME」で集中力を測定するとどうなるのか? 最先端な実験に研究員たちが挑みました。



自主企画としては、まさに300人300色のテーマが集まりました。


そんな多種多様な研究結果を、あえて、俯瞰的にまとめてみるとすると、こんな風になるのかなと思います。


一言で「働き方」といっても、様々な角度から工夫することができます。


雇用形態

時間の使い方

人とコラボ

ツールやテクニック

場所や環境

仕事との向き合い方

仕事の中身

雇用形態を変える。

 会社員、フリーランス、副業、福業、退職、独立。パラレルワーカー。マルチポテンシャライト。


時間の使い方を変える。

 週休3日。午前中だけ働く。効率UPする。もっと子どもと向き合う。朝読書。


場所や環境を変える。

 バンライフ。ワーケーション。自宅改造。ホテルステイ。


仕事の中身を変える。

 新しいスキルの習得。趣味を仕事にする。ブランドを立ち上げる。


ツールやテクニックを活用する。

 時間管理術。ポモドーロテクニック。パソコン、カメラ、ソフトウェア、アプリ。


人とコラボする。

 チームを組む。プロジェクトに参加する。


仕事との向き合い方を変える。

 活動を見える化する。SNSで発信する。ワクワクを探す。



そしてそういった工夫によって、結果として求めたアウトプットも、人それぞれでした。


仕事の幅は広げられるのか。

より稼げるようになるのか。

より幸福になれるのか。

より生産的になれるのか。

より生活は豊かになるのか。

自分にも、できるのか。自分でも、できるのか。


もちろんここには一部しか載せられていません。それぐらいバラエティーに富んでいました。その多様性があるからこそ、色々な化学反応が生まれることになったのだろうと感じます。

ひとりひとりのテーマとレポート一覧は本レポートの最後にまとめていますのでぜひご覧ください。


半年間のBefore After


研究員としての活動期間は、半年間でした。

たったの半年、されど半年。


思い描いていた研究結果を達成できた人。

途中で計画を変更して、想像もしていなかった結果につながった人。

予定通りには行かなったけれど、その中で貴重な気づきを得られた人。

様々な展開がありました。


途中で計画が変わることは、悪いことではありません。

むしろ、どちらかといえば、すごく良いことだと思っています。

なぜなら、計画をたてた当初は知らなかったことに気づいたからこそ、何かしらの進捗があったからこそ、目標を変えようという判断を下すことができるから。

新しい人、知識、環境との出会いによって、活動が少しずつ形を変えていく、というのも、実験ならではの良さだと思います。



そんな風に半年間の活動を終えた300名の研究員ですが、その前後で実際どのような変化があったのでしょうか。



まず、本制度を通じてどのぐらい変わったのかという問い。


なんと、3割の方が「人生が変わった」と回答。


「行動すれば良いんだ」「失敗しても良いんだ」と思えるようになったという、マインドセットのシフト、そして、「信頼できる仲間ができた」という居場所との出会いを感じた方にとっては、とても大きなキッカケとなったようです。



具体的にどのような変化があったのかを詳しく聞いてみたところ、「行動意欲」と「学習意欲」が増えたという方がなんと80%にのぼりました。

また、これは少し意外な結果でしたが、「幸福度」が上がったという方も多かったのです。働き方を実験することが、自分の幸福にもつながる。そんなことが明らかになったわけです。

さらに、自分のことを認める気持ちや、自分に対する自信を見出すことができたという方も6割前後。

様々な指標において、6割以上の方が変化を感じているということがわかります。


もちろん、変化があまりなかった、という方も、あまり活動ができなかった、という方もいます。

ですが、あくまで自主的に活動をしていただくだけのコミュニティにおいてこのような変化が見えたというのは、正直運営側の期待をはるかに超えていたかもしれません…!



はたらくを実験する、ということの意義。


振り返ってみると、このような変化を実現することができた要因としては大きく2つあるのかなと感じます。「行動」と「交流」です。


「行動」による変化。

行動って、しなきゃと思っていても、しろと言われていても、なかなかしづらいものです。でもだからこそ「実験」というキーワードが今回の制度の大きなポイントでした。

実験なら、上手くいってもいかなくてもいい。試しにやるだけだから、どうなったって恥ずかしくない。そんな風にして、安心感と勇気を同時に与えてくれるようなマジックワードです。

そしてその結果として、一歩、いや、半歩踏み出すことさえできれば、案外思っていた以上に簡単だったり、楽しかったりする。結果がどうであれまずは行動できた、ということだけで、ちょっと自信がつく。新しい扉が開く。だったら、もうちょっと行動してみよう。そんなポジティブサイクルをつくることができるわけです。


「交流」による変化。

そしてその行動の支えとなるのがコミュニティです。

たったの半年間ではありますが、研究員SlackやSNS、定例ミーティングや各種イベント、部活動など、様々な交流の場があります。同じ「研究員」という立場として「実験」を行っている、というような共通項さえあれば、オンラインでしか会ったことがなかったとしても信頼関係は築くことができるんだ、ということを証明できた気がします。


もっと行動してみよう!と刺激をくれる存在も

失敗しても大丈夫!と安心を与えてくれる存在もいる。

研究活動と関係なく趣味の話やプライベートの話で盛り上がれる存在や、

仕事を一緒にしあえるような信頼できる存在も。


そんなコミュニティがあったからこそ実験活動を継続することができた、という方もとても多く、改めてつながりの重要さを感じました。



そして第2期へ。


第2期研究員制度では、これまでどおり「行動」や「交流」を重視したコミュニティをつくっていくと同時に、さらにイノベーティブな「働き方」への挑戦をしていきます。


今、社会は変わろうとしています。古い価値観から脱却し、コロナによる経済の停滞からも脱却し、様々な変化に耐えうる新しい価値観を取り入れていかなければならない岐路にたっています。


だからこそ、新しい働き方LABでは、新しい自分、新しい組織、新しい社会に挑みたい方々を募集しています。


総括レポート筆者

新しい働き方LAB 所長 市川 瑛子

マッキンゼーアンドカンパニー、文部科学省を経て、スタンフォード大学MBAおよび教育学修士を取得。

その後ランサーズの「誰もが自分らしく働ける社会をつくる」というビジョンに共感し、入社。

2019年4月、新しい働き方LABを立ち上げ、つながり・気づき・学びをコンセプトとした共創コミュニティを運営。